ほろ酔い夫婦の狂想曲

昨晩、テレビドラマを見終わって、そろそろ寝支度でもしようかと思っていた私の携帯電話がけたたましい着信音を鳴らした。画面にはよく見知った名前が・・・・。そう、私の姉からの電話である。
世間一般の兄弟に言えることだが、用事もないのに弟に電話してくるわけもなく、開口一番、姉は高らかに言い放った。

「うちのパソコンのセキュリティの何か送って！！」

その前に私は酔っ払った姉の発言を翻訳してくれるソフトを送って欲しいと思いつつ、事態をおおよそ把握しながら一人、姉の訳わからぬ発言に爆笑するしかなかった。
姉の要望はこうだ。姉の家のパソコンは最近、購入したばかりのものだ。メーカー品を購入したので一通りのソフトはインストールされているが、ウィルス対策ソフトには使用期限が設定された体験版が入っていたのだろう。それの期限がきれたことを知らせるアラートが出たので、なんか使えるソフトをよこせと言ってきているのである。

正直、面倒くさいと思った。だいたい、フリーのウィルス対策ソフトは検索すればゴロゴロしているし、製品版は自分で買えと言いたい。しかしだ！！酔っ払った姉に「ググれ、カス」と言い放つ勇気は私にはない。仕方ないので、使ってないシマンテックのライセンスを分け与えることにした。

しかし、ほろ酔い気分の姉は一筋縄ではいかない。「メールアドレス教えてくれ」という私に「携帯のアドレス知ってるじゃん！」とのたまう姉。ライセンス番号とダウンロードのURLを携帯に送ってもいいけど、それをいちいちPCに手入力する気ですか？もはや、アルコールに脳を支配された姉には、事細かに説明しないといけない。それも、何回か同じことを繰り返して。

すると会話に疲れたのか姉は義兄に変わるという。ようやくスムーズに会話できると安堵した私の耳に、「いやぁ、悪いね〜」と妙にテンションの高い義兄の声が飛び込んでくる。もはや心の中で叫ぶしかない。


「あんたも酔っ払ってるのかよ！！」と・・・